どの仕事で生きていく?-歯科医師を例に
1号線です。
前回は
お店を出すということについて-ある美容師さんのおはなし- - 1号線から始まる明日で書いたように美容師という職業柄、独立してお店をもつということが一つの目標になるということについて書きました。
しかし美容院は数が多く、生き残っていくにはきびしい世界です。
そこで美容院ほどではないものの、同じく数が多くて有名な歯科医院について今回は主に書いていきたいと思います。
医療関係の仕事に興味がある人の参考になればいいなと思います。
ただし、僕はまだ学生であり、大学病院でしか実習していないのでそこで先生から聞く話は大学病院でのことなので、開業している人(個人で医院を開き医療を提供している人。〜クリニックなど)や市中病院などで働いている人の現状などはあまり詳しくなく、参考程度にしか書かれていませんのでご了承ください。
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大学病院勤務の歯科医師と医師の年収
いきなりお金の話かよと思われるかもしれませんが、この話が一番みなさんの興味があることではないかと思います。
実際僕も医学部へ行くための受験勉強で挫けそうになったとき、医者はお金がたくさんもらえるということを思い浮かべて、それをモチベーションにして頑張っていたときもあります。いやまあ、やっぱりそこは大事ですよ…ね。
歯科医師や医師という職業はやはり儲かるということやお金持ちというイメージが世間一般では通っています。
では実際どうなのか?そこをお話します。
ある大学病院では、歯科医師の平均年収はおよそ600万円ほどです。
そして同じ大学病院の医師の平均年収は1400万円ほどです。
*ほんの一例です。それぞれの大学病院で年収は変わってくるとは思いますが、あまり大差はないと思います。
サラリーマンの平均年収はだいたい500万円ほどなので、医師はその約3倍の年収ですが、歯科医師はほぼサラリーマンと同じといえます。
歯科医師の仕事はあとでくわしく説明しますが、医師ほど激務というわけではありません。救急車で運ばれてきた人を迅速に対応するのはまずは医師ですし、それほど緊急性が高い場面には遭遇しないことが多いです。
歯科医師でもまったく緊急性のない職業かというとそうではありませんが、医師と比べると、という話です。
しかし口の中の癌や顎の骨が折れた人の手術をすることもあるような、専門性の高い歯科医師という職業が、これほど年収が低いというのは正直驚きです。
大学病院での歯科医師の仕事
さきほども書いたとおり、大学病院で働いている歯科医師の仕事は口の中の癌(舌癌や歯肉癌)の早期発見や治療(抗癌剤をうったり放射線を当てたり。ときには手術もする。)、他には医師が執刀する手術の前後に口の中をチェックしたり。
あとは転んだりして顎の骨を折った人の整復なども行います。
他にもいろいろありますが、主に首から上の領域に関しては歯科医師が担当することが多いです。
開業している歯科医師の現状
歯医者で開業している数は、今やコンビニの数より多いです。ある駅前の歯科医院は3つ連続で隣どうしで並んでいるということもあります。
もう本当に患者の取り合いになっています。そこで開業医は治療室をすべて完全個室にしたり、針をささないで行える麻酔をしていたり、聞いた話によると治療後においしいお茶を出してくれるティータイムサービスを提供しているところもあるそうです。
そのお茶が奥様方の間から人気を得ているとか…。
そうしてなんとか差別化をはかって経営しているのですが、やはり開業医だけではやっていけないということで週に2日しか医院を開けずに、その他は市中病院などで働きに行っている歯科医師もいます。
本当にやりたい仕事をやる
ここまで主に歯科医師についてざっくりと書いてきましたが、今では歯科医師という職業で十分安定した収入を得て生活していくのはかなり厳しくなっているといえます。国も歯科医師が多すぎるという現状をなんとかするために、歯科医師国家試験の合格率を60%ぐらいにおさえています。ちなみに医師国家試験の合格率は90%程度です。この医師国家試験も年々合格するのがむずかしくなっていて、各大学はなんとか合格率をあげようと学内試験をきびしくして留年率をあげたりしています。このことについてはまたいつか書けたらなと思います。
美容師のかたに伺った話では、きびしい美容業界でも生き残っていく人はやはりはじめに描いた自分の夢を最後まで追い続けている人だということです。
先日歯科医師が執刀する歯肉癌の手術をみて勉強させてもらいましたが、その患者さんは早くに歯科医師に癌を発見された方です。癌はやはり早期発見が肝心です。もうちょっと早くに見つけることができれば命を救うことができたのに、という場面にはよく遭遇します。
また手術前後の口の中を歯科医師が徹底的にチェックして必要であれば治療することで、その後の患者さんの回復具合にかなりの差が出るということでも歯科医師の役割が重要視されています。
交通事故などで顔の骨が折れて食事ができなくなっても、なんとかものを噛んで食事できる状態まで治療することで、その患者さんは非常に喜ばれます。当たり前のことではありますが、チューブや点滴で栄養を入れられるより、自分で噛んで食事をするということは生きていく力になっていくのです。
このような治療は歯科医師と形成外科医が主に担当しています。
虫歯の治療や親知らずの歯の治療などはいうまでもありません。これもほうっておくと副鼻腔(鼻周辺にある顔の骨で囲まれた空洞)に感染がおきて大変なことになることもあります。虫歯をほったらかしにしている人は、早めに歯医者に行ってくださいね。
美容師でも医師でも歯科医師でも、本当に自分がしたい仕事-夢-を実現することができる職業であるのははっきりしています。
そういう意味では、厳しい世界だといえどもチャレンジする価値は十分にあります。